連載第11回 いのちづな――二〇二六・二    亜久津 歩

連載第11回
いのちづな――二〇二六・二  亜久津 歩


遅くおそく降る雪
髪を梳く淡い響き
わたしに優しくするとき
わたしは優しくされる

根雪の下の
大切にできなかった愛しさたち
あなたのせいにすることも
わたしのせいと悔いることも
祈りになり果てて

わたしをたからものにするとき
わたしはたからものになれる
ベルガモットの香り
壁に染みる影は一人


手と手をつないでいたい
おかえりと抱きしめたい
冷えて赤い頰を温めたい
安易でも陳腐でもいいや
あまりにも平凡な結論が
あまりにもとうとい冬野
空気さえ煌めいて眩しい
いくらでも続いてほしい
どうしても忘れたくない
どうしても直らなかった
狂ったままの時計が偶然
正しい時刻を指すように
一本の裸木の刺す月が
満ちていく――

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