第8回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門奨励賞 短歌「あいうえお順」 俳句「大人の話はつまらない」 自由詩「だいじょうぶ」 髙田 祥聖

第8回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門奨励賞
短歌「あいうえお順」
俳句「大人の話はつまらない」
自由詩「だいじょうぶ」
髙田 祥聖

短歌「あいうえお順」

不登校なれども名前を呼ばれけり青木に席がまだある限り

ユニコーンの角を卑猥と言う伊勢の目に映るものみな卑猥かな

トイレットペーパーの芯積み上げる鵜飼に誰も何も言わない

江頭と名字で呼べばキレるからキレるまで呼ぶその様式美

及川が吹奏楽部を辞めたこと誰もがそれを尋ねないこと

似たような後ろ姿の神﨑と木崎の影が鏡に映る

空気抵抗ゼロの倉田が描き上げた素描に残る指紋いくつか

うつくしきものの一つに剱持のはらぺこあおむしみたいな眉毛

早弁後小宮は光合成をする瓶底眼鏡を頭に乗せて

乙女座が最下位の日の斎藤の虫の居所にありし乙女座

俳句「大人の話はつまらない」

楊梅や牛乳を初潮の日にも

無垢の歯の無垢に竜灯痛からう

抽象銀河ヒトにまだ眼はありますか

ルッキズム花野を行くために眼鏡を

露は露食うて太るや人の真似

秋は夕暮れポッケ片つぽ出したまま

男の子みな隙間風飼つてゐる

血を与へ冬蚊の姉となりにけり

リボンいな愛の日のリボンでありぬ

ヰタ・セクスアリス鶴去りてこれは誰の

自由詩「だいじょうぶ」

咳が止まらなくて
君がだいじょうぶって訊く

歩くのが遅くて
少し先で
君がだいじょうぶって訊く

だいじょうぶ
だいじょうぶ

だいじょうぶだよ
そのためのくしゃみでしょ

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