Ecce homo(この人を見よ)  大口玲子

  • 投稿日:2013年04月05日
  • カテゴリー:短歌

短歌・大口130405       

  Ecce homo
                           大口玲子

    この世は、イエス・キリストの体に激しく襲いかかるが、
    キリストは、苦しめられながらもこの世の罪を許す。
                         Dietrich Bonhoeffer

光撒くやうにおがくづをこぼしつつ木を切る人の孤独鋭し

天職といふものつひに無きわれか花冷えにくしやみして水を飲む

どうか目をそらしてほしい 桜蕊踏み大股で歩みくるひと

葉桜といふには早き樹下に立ち背筋をのばす斉唱はせず

朗読に酔ふまじみひらけるわれに最初の言葉としてきみが立つ

はなびらが桜を離れ地に落つるまでの歓喜よ人に知らゆな

見ることすなはち暴力としてわれは見む今年誰にも見られぬ桜

説教はわが耳を楽しませるなくただに未踏の境地へと運ぶ

天国に一瞬ふれたる指先は水辺にてわが名叫ばれしとき

他の誰とも違ふ方法でわれを見るその人をわがうちに得たかりき

作者紹介

  • 大口玲子(おおぐち りょうこ)

1969年、東京生まれ。「心の花」所属。歌集に『海量(ハイリャン)』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』。他に、『セレクション歌人 大口玲子集』がある。宮崎市在住。

タグ: , , , , ,

      
                  

「短歌」の記事

  

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress