俳句1月 鬼 花尻万博
柊や 街
祀られ鬼
言の間虎落笛
鬼と災ふ
出口 街の川
鬼の衣冷た
塔婆、ビル日向
鉄の霊区
鬼 八方向交差点
街に鬼
吾の手か手袋の中動き出す
*
旧都 朱の香
焚火語るかな
境界時雨れ
花街菊畑
狸小銭晒す
虎さへ和紙
ある種沈黙
鬼濡れ皺ぶ
旧都今乱れて今雁
旧都に鬼
焚火の炎耳当ての中耳病みぬ
*
鬼虹植え
鴨 南北
小火と蛾
菊、山蜜
虹刷く
子は柚子
寒霞 子と動く
夜を失くし獣
そこ虹の肉
虹に鬼
初霜の降り来るまでよ螺鈿光
*
炭や指折片言
寒の水鳴り
炭明り標
村少し市
炭火、鬼の胸毛
鬼舐梟
母に炭火なほ
白鳥 喪衣
温か口に飴
炭に鬼
故人 水と逢ふ生米、洗魚かな
*
花、黒めよ
雪へ神楽ふ
踏めば水仙
鬼と今し帰り
熱無く蕊
世人も谺
鉱泉凍て
鬼古ぶ
比喩、花か
花に鬼
波音や夜は固まれり室の花
《五十句》