




第11回詩歌トライアスロン三詩型融合部門候補作連載第4回
閉環抄
畳川 鷺々
絵の先の雪島に靴ひとり鳴る
雪明り絶へだへに愚者の割る往路
あなたは
どれだけ死んでも
必ずわたしのもとへ戻った
それは決まって冬だった
いくつもの断絶を越えてくる
吐息
足音
雪と風の音楽をかきみだしにきたの
そうなの
と、わたしは扉を開けて
うけいれる
何度も
固有色をとばす光を浴びて立つあなたは獣 わたしのかわいい
ひどいめにあってしまうよ、まんまるくひろげた目から鉱石を掘る
動かない ちいさく冬になってゆく犬が犬ならわたしもわたし
誠実に生きてきたあなたの悪名がこの国を揺らすまでもうすこし
探していないときに見つかる妖精に耳打ちされる の ろ い の こ と ば
十年後、大人のふりした怪獣になりたかったね なれなかったね
狐火も開けば渦に呑まれ闇
廃城を背に静かなり収穫祭
いつも違う姿で
声で
わたしを求める かわいいあなた
持ちうるあらゆる感覚と知識を
あなたとの
会話のために使いましょう
割っていたはずのラムネ瓶のかけらさがそう シーグラス今ならきっと
近くなる夕陽に影が伸びてゆく ねじきれるまで手を振りまわせ
軒下にラジオを吊るしはじめての真夜中 若さを逆走してゆく
システムの解明 きみはゆっくりと断罪される きっとまた冬
暴力をふるう側ではなかったとその誇りだけ抱いておやすみ
百年後、煌めくバンドアレンジのフェードアウトはまだ許さない
絵を描いて、その時間を閉じこめる
、わたしの手で
ひどく傲慢だと思う
誰かに見てほしいなどということも
あなたが、その絵をみて
いる、その時空のねじれている様子
をわたしがみて、想像することでもう一つ
ねじれが起こる
、ので
円環をぼかして閉じるはじめから閉じていたこと 欠ける蜜月
閉じたまま踊る ピントが合っている今だけの歌をはだかにまとい
LOVE SONG 風にまかれて遅くなる時の流れを逃がさぬように
散らかった灯の不始末をたしなめて合同宇宙葬はまもなく
千年後、わたしの舌の上にある消失点を光らせて待つ
非難する声の雨降る ままごとの終わりを告げるように吃音
ぬくぬくと絵に閉ぢこめる冬霞
磔の冬鳥の影タイプ音








