

白百合譚
カニエ・ナハ
誰がために摘めりともなし百合の花聖書にのせて祷りてやまむ(登美子)
揺れる百合の天蓋に覆われている
緑の髪が燃えている、風は深く吹き
石は立てられ、生まれることなく潰えるものの
泉は混み合い、聞こえくる音の重なる
蝶と朝の間、過ぎ去った白い花の名の
母音は引き裂かれ、空に宙吊りにされて白く
月は土を少し潤し、脈打つ果樹園の目蓋を覆っている
隠された指が千切っている麺麭の
犠牲者の心臓が鼓動している
白百合譚
カニエ・ナハ
誰がために摘めりともなし百合の花聖書にのせて祷りてやまむ(登美子)
揺れる百合の天蓋に覆われている
緑の髪が燃えている、風は深く吹き
石は立てられ、生まれることなく潰えるものの
泉は混み合い、聞こえくる音の重なる
蝶と朝の間、過ぎ去った白い花の名の
母音は引き裂かれ、空に宙吊りにされて白く
月は土を少し潤し、脈打つ果樹園の目蓋を覆っている
隠された指が千切っている麺麭の
犠牲者の心臓が鼓動している