自由詩
今回は作品が充実した。
自由詩と俳句は2人ずつ、短歌は1人だが実験的な作品だ。
前回の後記にも書いたが、今号より自由詩は福島の詩人伊武トーマさんの月イチ連載がはじまる。第一回は福島の現在を、怒りと自らに跳ね返る罪を自覚しながら、無駄のない言葉で書いている。俳句はすでに男波弘志さんの連載が2回目で、各詩型の作品も充実してきた。
もう一人の作品は、渡辺玄英さん。これもまた現在の不安定な状況に置き去りにされる生を、ちいさな声というまったく別な視線から描いている。
正岡豊さんの短歌も面白い。まさに「詩客」のコンセプトである詩型を越える、実践のような作品。現在をいかに描くのかという言葉の動きが感じられる。
俳句のもう一人の柴田千晶さんは詩人でもある。これも面白い。
「自由詩時評」は小峰慎也さん。一瞬の隙間に現在の風景を正確に読んでいる。
短歌、俳句時評共に現在への問題提起になっている。
「私の好きな詩人」は依頼原稿が落ちたため、拙作。葉紀甫さんはぜひ知ってもらいたい戦後詩人だ。
「戦後俳句を読む」それぞれの視点が良く、いつも勉強になります。(森川)
今回の現代詩の作品は二篇。伊武トーマさんは震災のこともあってか、書くことというか書くべきことが変わった印象、戦後のときもそうなんだが、本質的には何を書いていいのか分からなかったんだろうな。みんな。(イダヅカ)