パナップ 雪舟えま
あのひとの一合炊きの電気釜お花を炊いてみたいそうです
神さまのへんなところに入るためあなたの腕を急に引っぱる
耳穴に合わぬイヤホン押しこめば痛いね 冷え性の指令官
たぶん風 誰だれのおかみさんって呼んだよね、あれ、うれしかったの
ぬれティッシュあるよ、あるよと迫りくるひと妖怪になるのだろうか
紙ナプキンひょるひょるひょると抜き出して子どもは子どもの役目を果たす
ゲーム? って幼な子がわが手のひらをのぞきこむ なにもない手のひらを
痛みがあってこその刺青なんだろう、ね。パナップはまじめなアイス
犬の毛を梳いたブラシが落ちていて梳かれた犬の涼しさ思う
父の手をやさしく引いて歩みゆく真っ赤な味の名店街を
作者紹介
- 雪舟えま(ゆきふね・えま)
1974年札幌市生。大学在学中より短歌を始める。「かばん」所属。
2011年第一歌集「たんぽるぽる」(短歌研究社)刊行。
バンド「スリリングサーティー」でボーカル、朗読を担当。
この春、眠れない大人たちのためのユーストリーム深夜番組
「夜ふかしっ子クラブ」( http://ustre.am/mzEA )を始めます。
友造
on 6月 16th, 2013
@ :
惑わすような作品達の理由は?
柔らかさって雪舟さんの特徴、かも知れませんね。
不思議だけど深い、いろんな意味がこもっている、
そんな感じがしました。
新作の「バージンパンケーキ国分寺」もいいですね。
ネットでいろんな感想を読んでいても、作品の良さが
伝わってきますし、
http://www.birthday-energy.co.jp/
ってサイトでは、雪舟えまさんの性格にまで言及してますね。
つくづく、面白い作家さんです。