第8回詩歌トライアスロン鼎立作品奨励賞連載 眠る男 髙田 祥聖

第8回詩歌トライアスロン鼎立作品奨励賞連載

眠る男                 

髙田 祥聖

冬浅し眠りは暗がりを好む

枯蔦に有刺鉄線てふ意識

冬ざれの寝顔死に顔とは違ふ

遠火事に気付きつつうつらうつら

雄と雌ともに臍ある時雨かな

磔刑の手のひらに丘隙間風

戒名で呼ばれ振り向くここはどこ

丑の刻わたしは咳を思ひ出す

長ければ髪やはらかし室の花

表情は眉より生まれ寒鴉

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