第7回詩歌トライアスロン鼎立部門受賞連載 宇宙コラーゲン 斎藤 秀雄

  Ⅰ

セルフガソリンスタンドの給
油ノズルまで、指先が、あと4
センチ、のところで、骨を探

さなければならない、あと2
センチとなるまでに、火星
用ゲーム機が埋め込まれた骨
を、

かの聖なるお
方の骨、もしくはかのやん
ごとなきお方の骨、あるいは老
犬の骨、であるだろう……

  Ⅱ

あと3センチ、のところで、腫
瘍に阻まれてしまうだろう、マルウ
ェアが生んだ腫

瘍によって、伸びると同時に伸ばす腫
瘍が、これは舌だろうかいやこれは指
だろう、指が、伸び
る、

ノズルが伸びるということは
ない、伸びた指が巻きつくというだけだ、ノ
ズルを収める箱に、そのとき熱
の影は長い星に伸びるだろう……

  Ⅲ

伸びる指はとっくに癒
合しているだろう、コ
ラーゲンが例の箱をつ

つむみたいに、なって、いるだろう、ノズ
ルに届くことはないだろう、指
は乙女の壁の面積を測ることができな
い、

はじめの石の乙女の、壁は、壁は、火
星のデータセット、骨のタスク、一
口の光、パターンの腫瘍、はじめの石の葉の表
面をはしる予感であるだろう……

  Ⅳ

たぶんサイクリック宇宙を幾度く
りかえしても指先は届かないし骨は得られないだ
ろう、この舌のような指は乙女の一口の光にま

じる胃酸の臭いの一部であるだろう、あと5
センチという距離は存在し得ないだろ
う、これまでもこれから
も、

セルフガソリンスタンドとは多
々のタであるだろう、そうでなければ
骨、もしくはゲーム機、あるいは火
星、であるだろう……

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