雫する 八上 桐子

 

雫する
八上 桐子


三年前の雨の降りだす
頬杖ついてクラインの壺
七行先で見失う西
拡大された鬱に抜け道
足音を待つ蔦のこころで
バナナも匙も祈りのかたち
カーテン越しに聞く咀嚼音
息は大波ふたりのみこむ
言葉のなかで抱きしめる犬
鉄塔の空 隔てるまぶた


八上 桐子
句集『hibi』(港の人) 「ねじまき句会」「うみの会」「文鳥さんぽ会」「エミューの会」で活動。

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