雲あざらけく光のせゆき 江田浩司
言葉へと風があふるる誌上から近くて遠き
口惜しさは過去へ痣なし身を責めむ雲あざらけく光のせゆき
唇にさわる翼が匂ひたり天使ではない天使じやないと
海までの距離を尋ねる影法師 夕陽と犬は悼みを交はす
断弦の響きやまざる虚空には
虚空から充たされるものあまたあれ水惑星に憂ひあるとも
やさしさが鋭さとともに舌を刺す虚無へと腕を垂らしたるまま
夢を見る葦であれとは詩に至る途中の言葉などと歌へり
伝へてよ 風のまにまに歌ひ継ぐあはれは時の脾腹に積むと
葡萄色の思考とはそも何ものか