雲あざらけく光のせゆき 江田浩司

雲あざらけく光のせゆき 江田浩司


雲あざらけく光のせゆき 江田浩司

言葉へと風があふるる誌上から近くて遠きちちのやすらぎ

口惜しさは過去へ痣なし身を責めむ雲あざらけく光のせゆき

唇にさわる翼が匂ひたり天使ではない天使じやないと

海までの距離を尋ねる影法師 夕陽と犬は悼みを交はす

断弦の響きやまざる虚空にはれては消ゆる雲の叫喚

虚空から充たされるものあまたあれ水惑星に憂ひあるとも

やさしさが鋭さとともに舌を刺す虚無へと腕を垂らしたるまま

夢を見る葦であれとは詩に至る途中の言葉などと歌へり

伝へてよ 風のまにまに歌ひ継ぐあはれは時の脾腹に積むと

葡萄色の思考とはそも何ものかあららぎぬらすあけぼのの歌

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「作品 2011年6月10日号」の記事

  

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