饕餮前夜 高島裕
鮮紅のコム•デ•ギャルソン、雨降れば雨のしづくも窓につやめく
参道のごとき小路の奥の奥、ほのかに灯る酒場に入りぬ
昼過ぎの三月書房、
むせかへる太古の
青銅の祭器は鈍く輝けり、幾万の
文明の夜明けの庭に
しなびたる食堂のままであることの(絶品の鯖!)なんと贅沢
泥泥泥泥泥泥泥泥泥泥かみがもようちえんうんどうかい
歩かせてごめんね東本願寺西本願寺もう日が暮れる
作者紹介
高島裕(たかしま・ゆたか)
1967(昭和42)年、富山県生まれ。1995年上京、短歌を始める。第一歌集『旧制度』(1999年、ながらみ書房刊)にてながらみ書房出版賞受賞。帰郷後2004年より、個人誌『文机』発行。