クララがすぎる 高田 ほのか

クララがすぎる
高田 ほのか

右側の触角とれてあなたへと(ひじょうかいだん)すすんでしまう

うつつってゆめっぽくってゆめうつつうつらうつらとひつじをかかえ

寒くってもずく酢残したよっていうムーミントロールみたいな瞳

ねぇきょうはストーブなくてもねむれるねってつられておんなじゆめをみたいな

さっくりとあなたに巻かれたマフラーのあの日からずっとずっとつぼみだ

あまったるい顔して笑うあああなたの本心もポタージュスープであれ

駆け上がる(これは天使だ)アルペジオゆびのちからをぬきながら弾く

か た つ む り ゆっくりかおをだしそうなつぎの青まで信号を待つ

ひらいたら健康運は星ふたつしてあげられなかったいくつかのこと

この品は私が検品しましたの丸橋さんに会いたい夜更け

わたしより長いまつ毛を撫でながら今宵あなたはクララがすぎる

たよりない夢に今夜も頼ること親指で押す白い眠剤

(いじわる)と思えるこころのまだあって柔軟剤のほのかなlily

ねむりたいねむりたりないねむれない合歓のはなびらまぶたにしたい

くちびるが離れてあなたの目の奥に(そうだ、雪ってこんなふうにふる)

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