食めばすなはち 黒瀬珂瀾

食めばすなはち 黒瀬珂瀾


食めばすなはち   黒瀬珂瀾

聞きながら聴きえぬ声の宵闇を夏時間サマータイムが追ひたててゆく

Nightmare of Fukushimaと鋭き声にわがおもは向くしやうを離れて

食めばすなはち忘るるといふ蓮あらなキューガーデンに夕陽くづるる

晩年は死ののちにこそ来んものを初夏のテムズに影を落としぬ

かささぎの尾羽せはしくいさかふに産土うぶすなはまだ恋ほしくあらず

五月倫敦ロンドン、薔薇あふれつつ帝なべて干戈かんかの奴婢と思ふたまゆら

食めばまだマンゴー硬し “連立coalition” 昨夜きぞ覚えたる一語つぶやく

『黄金の階段』降るミューズらよ歌はされども氷雨のうたげ

曇天にそそり立つリラ たたかひはただ戦ひを照らす灯なるを

わが出だす封書にラベル貼り終えて津波を問へりベンガルの人

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「作品 2011年5月13日号」の記事

  

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