リヨン市街地 峯澤 典子

リヨン市街地 峯澤 典子

ベルクール広場で会えばさらされて炎天のふたり欠けた両翼

死ぬ間際あなたの胸に眠るのは盲いるまえに見あげたピエタ

西の駅一夜だけ会うひとがいてさびしい鎖骨ゆえに愛した

冷えたくちをかさねたあとの横顔は死後の鏡にうつる白桃

幾千の蠟燭で頰あたためて花から花へ歩くマリア祭

ローヌ、ソーヌ、兄妹のように似た河の母音のなかへ沈むオリオン

空を食む羊の群れを追うきみの目の果てに建つ塔に住みたい

この頰は落ち葉のようなゆびさきが寄りそうためにただ存在せよ

手をとって路地の途中で彷徨えばまぶたのうえでゆれる岸の火

まだ眠るひとと別れて市街地へ降る花は降る記憶の窓から

タグ: ,

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress