授乳アラーム 平嶋さやか

授乳アラーム
平嶋さやか

冷蔵庫に醤油タバスコ排卵誘発剤
頭蓋骨ほどの胎児となりて夏夕べ
陣痛タクシーなき街や冬ざるる
ナースステーションに消音の歌番組や大晦日
初風や退院の吾とみどりごに
洗はれて尿する赤子星月夜
霜の夜や授乳アラーム三つかけ
赤児ゐて悪夢の増えて冬の宵
春のやみ寝てゐたはずの子立つてをり
搾乳機外せば円き跡と汗

平嶋さやか(ひらしまさやか)
一九八四年生まれ。澤俳句会会員。第二十四回澤新人賞受賞。

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