


第11回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門受賞連載第3回
夢分析について、あるいは淵に潜む龍
nes
内臓ののびちぢみして秋狂う
荷造りにプロミネンスのあかるさや
トルコアイスに配られるいなびかり
解剖はトートロジーを背負うまで
男の娘だけが秋天的である
フロイトのすきまを通る猫の影
企ているのは葡萄もおなじです
《女装はもっとも男らしい行為》
裁かれる啄木鳥はまだ古語じゃない
野にパイプオルガン型の穴だった
マグカップから鯖雲の模造品
鏡とも死とも言えずにバルーンアート
豆腐学上の花野のまったいら
虚無僧が歩く 悲しめなくなる
修辞とは林檎、早送りで剥いた
脚長のエッフェル塔を信じない
無限スクロールに秋の蚊がとまる
真夜中やぼくらはおわらなかったの
五十音表は蛇笏の風鈴か
ぼろ布を孕めないからだでつまむ