
第11回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門受賞連載第5回
D:P
横山 航路
生きていくのは青嵐 カーテンが手本のように揺れて倣った
学校で殴られず帰れた晩にたまに見ていたクイズ番組
傷つけるより傷ついてしまうから会話を雨のように過ごした
口答えしなくなるまで バルコニー 月の白さの半袖のシャツ
泣きながら食べたアイスの味だけが涙のあとに思い出せない
おたがいの愚痴をおたがいから聞いてひとがだんだん難しくなる
蛇の死に気づけなかった 中学の廊下を歩くときの俯き
Defeatist Pacifism 消えそうなほど薄れる自我へ着せる白シャツ
お土産のあと一枚のクッキーを譲り合うから天使になれる
ランダムに夜をひっかく流星に空が傷つかないよう祈った







