空を腕   堀田季何

  • 投稿日:2020年04月11日
  • カテゴリー:俳句

空を腕

空を腕   堀田季何

泳ぐなり水没都市の青空を
風鈴をきいたのかもうおわかれだ
猫砂に赤紙混ずる晩夏かな
猫転がり人寝転がる原爆忌
戛戛と猫の爪切る月の雨
少年少女焚火す銃を組立てつつ
撞木鮫撞木の幅に並べらる
銀行地下金庫人食鮫眠る
淡雪は時間ゆつくり巻戻る
夜桜が一枝一枝を死者の腕

堀田季何(ほった・きか)
「楽園」主宰・「短歌」同人。句集『亞剌比亞』・歌集『惑亂』

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