下り   相原かろ

下り   相原かろ

線路脇を草ぐさなびくに法則を見い出さんとてまんじりと見る

照明が点いていないとこんなにも暗い電車に運ばれていた

なにがなし鼻はしきりと袖口に寄せて灯油のなごりを求む

吊り革がロシアンルーレットになっている車輌はなけれど吊り革の数

端っこに行きたい自分をつらまえて真ん中の席座らせてみる

吊り革の輪っかに傘の柄がかかり傘の腰巻きあたりから腕

親指と人差し指に耳たぶをつまんで下へ引っぱるしまし

渡らせるもの何もなき時を橋ふくだみてちと砂をこぼせり

立ちくらみしつつあたまの白銀にひらくべき戸が在った気もする

電車から見えては見えなくする町に踏切りを待つ人などはいた

作者紹介

  • 相原かろ(あいはら・かろ)

相原かろ 昭和53年生、塔短歌会所属

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「作品2012年1月13日号」の記事

  

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