くさり   佐藤文香

くさり   佐藤文香

やはやはの毛布を干せばかなしみの

梅が枝にふれて睫毛は君が瞳の

春の光ぼくは眠る君は起きてゐて

なにか湧く桃の梢を束ねてゐて

ひかりからくさりかいしてぼくのきず

腑の奥に小瓶のありて倒れけり

木ずらつとそこが朧で夜を呼べる

三月の雨のおくゆきほどの町

ハニーチュロ而して春は渦巻く雲

ミンティアの氷山遠し駅あかるし

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「作品2012年6月1日号」の記事

  

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