(ひふだけになること、ゆめみて  金子鉄夫



(ひふだけになること、ゆめみて  金子鉄夫

「天国へようこそ!」 
なんていうビラ剥がし 
廃色のゼリーを塗りたくる 
歪む口が蟹歩きミソ、ドロっ 
末端の街でガムテープぐるぐる 
酸欠でキュートなアナタたちが好き、なんてねっ 
(ひふだけになること、ゆめみて 
トチくるった電波を浴びて春はうらら 
暇つぶしにハラワタひっかきまわして 
死にそこなった文脈が 
捩れ捩じれてオレ失禁寸前 
で迷う屑肉クソラテス 
が次世代の体位の話 
ばかりくりかえす路上 
(ひふだけになること、ゆめみて 
ヘロったアウトサイダーとやら 
に目線を引いて愛してます、なんてねぇ 
(黙れブスっ 
(ぐにゃぐにゃにキマってヌメる年頃 
死語をしこたま袋に詰めて 
投げつけ膜をやぶれば 
唐突の生臭いエクスキューズ 
にオレは白いタイツのおんなの背に浮かぶ 
「あいうえお」から「あ」と「え」だけ抜きとり 
「あ」から3をひいて「え」に8をたして 
捏ねて固めてカワイイっクラゲにして 
(それは祈りであってほしい 
ラブ&ピース 
でうなだれている白いタイツのおとこ 
に渡したところで失禁 
オレ失禁してしまって恥ずかしい 
からしゃべりまくる午後 
そんな日は降りつもってしまうムラサキの犬を 
うらがえして 
アスファルトに卑猥にならべて 
あたらしい錯綜をおもうスキャンダラスなカラダよ 
カラーコーンになりすましてベロたらす 
兄たちに火をつけて片っぱしから蹴り倒してゆく 
それが幸いだろうねぇ 
(ひふだけになること、ゆめみて 
ツラ汚しの体温を保ちつつ 
オレは住所不定パラダイス 
そんなオレを殺しそこねるなよジーザス 
(へっ、おまえはカピカピのままじゃんかっ 
エグいビートちりぢりに 
スウィングじゃんスリリングじゃん 
(黙れよブスっ、のぼせんなって 
(ぐにゃぐにゃにラリってイタイ年頃 
ピンクに汚れた中身をブチまけて 
路上 
なつかしい名前は安全第一でアルコールに浸るんだってさ 
(さよぉならっ、さよぉならっ 
笑えない死にたがりのキュートな朦朧体のアナタたちは 
あたたかい抜け殻を抱いてここで溶けてしまいなよ 
オっ 
オレはひふだけになる、ゆめみて 
その恥さらしのアカツキに舞う、ゆめみて 
最初であった最後のユビをもう一度 
このキズへ差しいれてみる

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