季節のこと 望月遊馬

季節のこと 望月遊馬 1
季節のこと 望月遊馬 2


季節のこと 望月遊馬

指がふたつ。ならんでいるから(異常に冷たい)砂にベンチが置かれていた(日)のどこか遠ざかっていくような雨のことや、潮がいくつもみえる。泳いでいる。泳いでいない。パンを食べる。パンの赤いジャムをゆっく(衛星)りと飲みこむ。アルバムのなかの画像が歪んだ。テレビのなかでも、指がふたつ、ならんでいる(から異常に冷たい)ならんでいるように見えるだけだ。

雨のなかに(日)をかさねて、日照時間に海のちかくの白い浜にたちすくむ。歯ブラシ。ありふれた顔をしている。横たわる。嘔吐しそうになる。「ノコギリのなかに、歯ブラシ。ボタン。骨にブラシをあててみがく。歯みがき粉は、骨の内側にぬって。そこに歯ブラシをあてる。ドライヤーのなかにウサギを三羽呼びいれる。ブーツのなかでは陸亀が眼を光らせている。」気候はまず背中に落ちてきて、それから生活になる。

めまいを覚えながら暗がり、のなかで目を閉じると、なにか砂のようなものが目のなかをちかちかと点滅している。紅茶とカップがあり、ナイフが置かれている。「人間のすがたによく似たかたちの列車が、雪のなかを西(北・東)にむけて走っている。とおりぬけるコートを見つめる。角度がずれていき、時間軸がおかしな方向にそれると、傘と歯ブラシが長針と短針のように、お互い(ゼロ)を照らし合わせている。」彼らは、ただじっとしている。

近づいてきた(メロン)ちいさな声とうすい息のことで、判断力を失っているから、造形としては明るい浜に寝そべっていた。シャツを着た動物が、あらゆるところを歩きまわっている。河には、貨物が浮かんでいる。けれども、分類できないということを彼らは知っていた。とても実直な顔をしてアサガオに水をやっていた彼らだから、もうすでにアスファルトの保温にも気づいているのかもしれない。雨が降ってくるところに、盲目なまでに付着して、

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「作品 2011年6月24日号」の記事

  

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