しんしん  来住野恵子


しんしん  来住野恵子

くれない深く 
川原が闇を増す 
天の川よりひかる七月の頬をなぶり 
低くくぐもる足どり 
西へ浄土へゆれながら 
風が風にふれる音をさがす 
 
レクイエム食す鳥は地を翼とする 
丘へつづく小径で忍冬(スイカズラ)のようにふきこぼれ 
白から黄 ろろと鳴る 
ふるい空だから羅針も溶け 
重なる呼吸の峰を見晴るかす 
 
夾竹桃のゆるい繁み 
飛び立つ際の潤んだ敵意 
どろんこみじんこ進化のドミノ蹴散らして 
からだじゅう毒めぐらせても守れない 
白日のバクテリアさながら 
残照にじむ土手に踊り打つ 
 
八分音符の和毛(にこげ)がそよぎ もうじき凪だ 
哀苦は永らえる 
かろやかに死を抉り 
寡黙なその瞳から漕ぎ出よ 
あけの明星欠けて 
なまはんかなしんたいなどしんじない 
 
あらぶる火の水脈 
熱雷ふかいくれない 
しんしんとふるえうごく 
神秘の筋力が跳ね返り 
力ずくでさらわれる 
見ず知らずの祈りがあふれてくる

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