白描 高貝弘也

白描 高貝弘也_1
白描 高貝弘也 2


白描 高貝弘也

激しく震えている
 
空から、鳥が逃げていった
 
 
玉藻なす(
水底へ沈んでゆく あなた
 
 
浅い縁の 岩蟹がけぞり
頭から、朝焼けの放射線 浴びて
 
 
生まれえぬものへの鎮魂か、
あの激しい白描はくびょうは!
 
 
 
汚染された瓦礫がれき 踏み、
延々とそこばかり
そこばかり……
 
古細菌―ああ 核のない母の恵み
 
 
 
り傷が、岩蟹の背で。
幼くなまめかしい 光のなかで
 
(しろいことばよ)
 
あなたが
生まれえぬものへ、一心に祈っている。
生まれぬまま みずからをやさしく示しているので

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「作品 2011年5月6日号」の記事

  

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