白描 高貝弘也
激しく震えている
空から、鳥が逃げていった
玉藻なす(
水底へ沈んでゆく あなた
浅い縁の 岩蟹が
頭から、朝焼けの放射線 浴びて
生まれえぬものへの鎮魂か、
あの激しい
汚染された
延々とそこばかり
そこばかり……
古細菌――ああ 核のない母の恵み
幼くなまめかしい 光のなかで
(しろいことばよ)
あなたが
生まれえぬものへ、一心に祈っている。
生まれぬまま みずからをやさしく示しているので