夢台公園のブランコ   暁方ミセイ



夢台公園のブランコ   暁方ミセイ

ひくく垂れ込めて
薄い電灯がぼうっと灯った、
坂巻くわたしのベッド・タウンよ
うろうろあるきまわっていた無言の顔を
濁った黄色い陽にくべて
ごうごう焚いて、燃やしてしまってからは、
一晩ごとに寒くなる。
月の晩ごと冷えてよく眠る。
 
 
曖昧な曖昧な生い立ちの
わたしたちのうえに、真っ黒な街路樹の枝がぶらさがっている……………深夜。
 
 
かのカーヴ・ミラー
小学校前の。
スミレグサ、ナズナ、黄水仙の領地を侵す
耳鳴り草、
気圧が変わって夏と秋とがきたる
雨のあと、
潰れたわたしがいつも倒れているかのカーヴ・ミラーよ、
湿った麦が穂を流し
通過していく。
 
 
やがてくるめく降雪が、
背中を冷やして
誰かが凍えた土を踏む頃には、
とおく
眠っていた黒い岩が
黙ってゆっくり近づいてくる。(そしてわたしは書く、長い冬、
生きている間の、腹立たしかったことについて)
雨の奥から
船がやってくるのが見える。
 
 
暗い
まぶたをとじると
黄色い電車がでてゆき、電灯がきえる
そしてホームに、ほんとうにしろく、雪が降る。

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