その日  牧野芝草

その日  牧野芝草

台風15号が鎌倉に来て風向きの変わってゆくのを見ていた その日

「首都圏に上陸したのは12年ぶり」とYahoo!が教えた その日

夕方に雨はおさまり学食に傘を持たずに出かけた その日

NHKニュースは羽田空港はねだ多摩川河川敷たまがわの被害を中継していた その日

いつもより少し早めに(10時過ぎ)「お先に」と言い帰った その日

西門を出たときちょうどJ-waveが臨時ニュースを伝えた その日

小型機が衝突したというニュース 最初は事故だと思った その日

数分後二機めが衝突したと聞き核報復を恐れた その日

同じ電車でぼくだけラジオを聴いていて黙っているしかなかった その日

ガラスに映る車内を見ながら 『コップ一杯の戦争』短編を何度も反芻していた その日

collapse退縮と一義に訳せていた日々は乱暴だったとわかった その日

加納貴代子がそのときそこにいたことを知らずにニュースを見ていた あの日

作者紹介

  • 牧野芝草(まきの・しそう)

「題詠マラソン2004」で作歌を始める。

「白の会」および「さまよえる歌人の会」に参加。所属結社なし。

歌集批評会等のレポートを個人サイト「夢現間隙」に公開している。

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「作品 2011年9月23日号」の記事

  

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