在宅 松本てふこ
春雪をのせ満天星の花ざかり
親しくて敬語のままでかすみ草
朝寝してアマビエの髪編みし夢
風船の紐ばかり見て子供かな
ヨーヨーが日永の宙をめぐりをり
清明や換気のための窓開けて
校庭のがらんと春の嵐かな
出歩かず夫婦よく食ひさくら時
夕桜とぎ汁ほどの明るさに
桜蕊降るよやましく外に出れば
松本てふこ(まつもと・てふこ)
1981年生まれ。2004年「童子」入会、以降辻桃子に師事。2018年、第五回芝不器男俳句新人賞中村和弘奨励賞受賞。
2019年、第一句集『汗の果実』(邑書林)刊行。「童子」同人。