きみを嫌いな奴はクズだよ     木下龍也

  • 投稿日:2013年09月06日
  • カテゴリー:短歌

木下短歌130830

きみを嫌いな奴はクズだよ     木下龍也

青空の亀裂のように立っている丘陵の木は葉を落とされて

夕暮れのギターケースに投げ入れるあしたこわれる国の札束

海鳥に神はほほえむいくつもの潜水艇を胸に沈めて

死神の死角で眠れ弟よ愛と吸入器は忘れるな

天使に声変わりはない 少年はそう告げられて喉を焼き切る

「神様にやめとけよって言われたろ、子どもってすぐマジになるから」

山火事は好きかいアダムよく見てろ燃え残る木でイブが寝ている

あとがきに「ぼくを嫌いな奴はクズだよ」と書き足すイエス・キリスト

ひびとして君の過失を見せているすべての窓を割ってあげよう

人類が0へと着地する冬の夕日を鳥は詩にするだろう

作者紹介

  • 木下龍也(きのした たつや)

1988年山口県生まれ。2011年より作歌を開始。
2013年に第一歌集『つむじ風、ここにあります』(書肆侃侃房)を上梓。

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