とほき国 藤原暢子
届かない泡立草の枯れてゐて
水涸るる遊具の赤く塗りかはる
あをぞらへおでんの息をはきにけり
冬晴の鼻唄とほき国のうた
椿こぼれ背丈の違う子がふたり
一番星から歩道橋凍ててくる
ぽつりぽつり言葉をくべる焚火かな
柴犬の二匹出てくる春隣
朗読のラジオの終はり鳥雲に
永き日の封書で届く海の塩
ふじわら・ようこ。
1978年鳥取生まれ、岡山育ち。東京都在住。「雲」同人。2000年「魚座」入会。
「魚座」終刊に伴い、2007年創刊より「雲」入会。第10回北斗賞受賞。
2021年雲賞受賞。句集に『からだから』。