カンタベリー 笹川 諒

カンタベリー
笹川 諒

紙が紙を食べているような音がして目覚めた朝のことを話した

はつなつの伸びるこころの先端にアラザンを振る大いなる手よ

ゆったりと時間をなぞるたまかぎるほのかに赤い猫を眠らせ

どこからか言葉が還ってくるような夕暮れまずは口から開ける

六月三十日木曜日:透明な井戸が頭を離れなかった。

七月を歩けば窓人間になり思い出のカンタベリーの近さ

聖堂の床を磨いた記憶などないけれどこの葉のような指

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