海底撈月――多行形式俳句  笛地 静恵

海底撈月――多行形式俳句

笛地 静恵

正方形四

つの正四

面体を傾

け夏休み

ここはど

こ迷い町

の歩道橋

の上弦よ

虫ピンに

臍貫かれ

展翅板上

の全裸体

前髪を下

ろし少年

生糸の都

市の緊縛

マリオネ

ットゲー

ム哉永劫

回帰?羅

オリオン

帰郷ゲノ

ム一挙に

老い兆す

勾玉へ翡

翠の研磨

朧月の根

状性糸束

筏は月光

を載せ再

び海嘯へ

涙の幼子

長足を干

す長い部

屋の長い

長い時計

告天子よ

散華せよ

竜胆苦渋

の決断故

大雪は神

楽の面へ

散骨は静

かの海へ

行列を化

して奇を

飢ゑ十代

わ造花祭

竜虎の噛

み痕の振

り子東西

の橋流失

零戦の影

絵を見た

り前歯抜

け筑波山

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