連載自由詩第7回 教室で 他三篇 鈴木 康太

連載自由詩第7回
教室で 他三篇
鈴木 康太

教室で

捨てにくい乾電池を
傷口にはる
そんなことしても
何も始まらないのにと思いなおし
はがすあなたに
どこかのもようがつく

自転車

信号を
待つ必要はなかった
私たち
一直線に進んでいくわけではなく
私の家は
曲がった方だから
すんなりと別れた
あなたはその日給食当番だった
腕から
まだ湯気がでていた
私を見送りながら
あなたは
地面をかきまぜていた

喫茶店

折りたたみ傘が椅子の上
結んだ状態で直立していた

私は海をみたことがなかった

オムライス

何かやらないと
さみしいから
人が
手を動かすことは
全部さみしい
花に水をあげたり
人を殺すこともさみしい
指紋があるのもさみしい
おさまるところに
おさまりきれないのも
さみしい
注文は何にしますか
さみしい
美しさは手放せないもの
さみしい
オムライスはなかった
さみしい
オムライス
さみしい

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