レモン絞った指   鈴木晴香

  • 投稿日:2018年09月08日
  • カテゴリー:俳句

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レモン絞った指   鈴木晴香

春雷や卵を割ってくれる人
指先で見るしかない風というもの
ザリガニが恋人を撫でている遠目
映り込んだばかりにそこは水である
睡蓮を見ていたのに水は底まで
チケットのキリトリ線や夏の波
金平糖噛んでしまえば砂嵐
バニラにはバニラビーンズ凪いでいた
油絵は売られていない海の家
レモン絞った指が一日中レモン

鈴木晴香(すずき・はるか)
一九八二年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。塔短歌会編集委員。パリ短歌クラブ所属。
二〇一二年より雑誌「ダ・ヴィンチ」『短歌ください』への投稿をきっかけに作歌を始める。
第一歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房・新鋭短歌シリーズ)。短歌×イラストのギャ
ラリー展示や短歌教室、ポエトリーリーディングなども行なっている。

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