懐かしく   滝川直広

  • 投稿日:2019年05月11日
  • カテゴリー:俳句

懐かしく

懐かしく   滝川直広

薄氷を突きでて草のそよぐかな
薄氷の閉ぢこめてゐる付け睫毛
寺の名のほかは独逸語春ショール
手枕のかひなの長き御涅槃
春風の芦屋打出小槌町
湯の足らぬカップ焼きそば花曇
月浴びて渦潮の襞深くなる
青ぬたに唱歌聞かせるやうに母
けふも母にわが名教へる木の芽風
春眠の覚めればすでに懐かしく

滝川直広(たきがわ なおひろ)
1967年生。俳人協会員。「藍生」会員、
「いぶき」編集長。句集「木耳」今夏刊行予定。

タグ:

      

Leave a Reply



© 2009 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト. All Rights Reserved.

This blog is powered by Wordpress