あらかじめ誤っていた秋の断片についての誰にも渡されなかった覚え書き   杉倉葉

  • 投稿日:2019年09月14日
  • カテゴリー:俳句

あらかじめ

あらかじめ誤っていた秋の断片についての
誰にも渡されなかった覚え書き   杉倉 葉

ラビリンス、花火を終えて目覚めよう
木曜の戦線墓前に置く詩集
綴音を与えあう 試験の日には
眠れ秋に火は手のひらに隠しつつ
誤字を湛えているね さよなら
すべての朝の睫の匂い
水の病がうつる夕暮れの肺
遠い街(断層として)兄がいた
季語から掠めとるゆるやかな敵意
さわやかに枝葉を濡らせ王の死後

杉倉葉 
1996年生。
pabulum所属。フランツ・カフカアンソロジー『カフカと私』(11月の文学フリマ東京から発売開始)参加予定。

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