空気の靴   原ゆき

  • 投稿日:2020年12月12日
  • カテゴリー:俳句

空気の靴

空気の靴   原 ゆき

白玉を蜜ごと掬うたっぷり雨
児の頭ほどの百合なら歩くだろう
鯵の死へきらきらきらと酢を垂らす
森の風細く丸めてみれば胡瓜
視神経へと緑陰のよく届く
石鹸の泡の固さよ秋はじめ
枝豆はぽぴっぽぴっと遊ぶもの
あまつかぜ子規忌の窓を光らせる
朝起きて空気の靴を履いて秋
台風の雨の太さを帰りましょう


原ゆき(はら・ゆき)
1962年東京生まれ。2010年「船団の会」入会。2018年船団賞受賞。
現在無所属、坪内稔典ブログ「窓と窓」常連。句集「ひざしのことり」(2020年)

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