みえない海辺   大西菜生

  • 投稿日:2021年01月16日
  • カテゴリー:俳句

みえない海辺

みえない海辺   大西菜生

書くことをわすれるねむり冬至の日
救済措置とられてこの雪をあげる
あけて こどくは春の日記にもういっぱい
うちかえす波をぼくらのヒヤシンス
さくふうをゆったり知らす初夏の夜
いまは逃して栗の花びらだけの庭
おおうものなくなるからだ西鶴忌
秋にはよく裂けて詩をうむ丘の花
厭きて厭きて鳥の子どもを抱く枕
最後の日のような瞬き檸檬の木

大西菜生(おおにし・なお)
1998年生まれ。2014年の春より俳句を書きはじめる。
明治大学俳句会所属。

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