曲がり始める   諸星千綾

  • 投稿日:2021年04月03日
  • カテゴリー:俳句

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曲がり始める   諸星千綾

嫁入りの鏡に映る山笑う
膝裏の窪みに隠すクロッカス
重力をはずして蝶の浮かぶ夜半
朧夜の一度は断る踊りかな
寝たふりが春眠となる文机
かくれんぼスミレを踏んだ跡がある
小指打つ痛みに耐えて夜半の春
万物が曲がり始める春の闇
自転車に落花の数という時間
探しても探してもまだ春の闇

諸星千綾
1982年生まれ。東京都在住。
元「船団の会」、現「猫街」所属。

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