隻腕の猫    中村俊介

  • 投稿日:2022年02月05日
  • カテゴリー:俳句

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隻腕の猫    中村俊介

鯖雲や団地の窓は等間隔
月光の気配を帯びて終列車
かぎ尻尾お前もひとり冬に入る
冬晴れや昭和建築は更地に
初夢はみんな生きてる夢でした
手袋は片手になって捨てられず
凍星を不意にかき消す防犯灯
冬霞サラブレッドの影青し
犯人はこの中にいる穴熊と
隻腕の猫駆けてゆく冬日向

なかむら・しゅんすけ。
1977年生まれ、東京都出身。出版社勤務。現在は某歴史シリーズの編集に従事。

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