龍の鱗    一関 なつみ

  • 投稿日:2022年05月07日
  • カテゴリー:俳句

龍の鱗    一関 なつみ

山眠る帷を白くけぶらせて
漣は龍の鱗に似て冬日
地球からの出口としての冬の月
元日や夫婦茶碗の艶静か
魚は氷に鞄の底に潰れている麺麭
受験子のスタバに集う日和かな
悪い夢食べて伸びゆくアマリリス
花弁を傘に纏わせ帰りし子
褒められることなき出社諸葛菜
言霊のまず渇れそうな春の風邪

一関なつみ(いちのせき・なつみ)

平成三年生まれ、岩手県出身。「小熊座」同人。
「むじな」所属。現代俳句協会会員。第二回俳句四季新人奨励賞。

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