弱音器   渡辺めぐみ

弱音器   渡辺めぐみ

本当のことが言えない
夜の不実を
朝の林檎の香りが吹き飛ばしてくれるだろうか
雨を吸い込み重くなった樹木が
閉ざされた時を更に闇に引き下ろした
下ろされた時に固められている青い鳥を捜そう
 
脚が震えなければいい
それだけでいい
と思った日もあった
その日の微かな願いの明かりを思い出す
台所のアルミホイルが雨と対話している
その声が聞こえない

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「作品2012年7月6日号」の記事

  

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