日暮まで   北川美美

日暮まで   北川美美

夏野から去年の返事を待ちわびる

光茫の夏野に誰も入るまじ

夏の野に赤い眼をした犬をみた

濁流や夏野の脇をとおりけり

割れたての石の息吸う夏野かな

父に似た夏野に寝転ぶ日暮まで

夏野にて空の淋しさ見ていたり

やわらかき夏野に鎖あずけおく

体内に夏野ありけり霧雨の

夏の野のうねりにおろす櫂ひとつ

水のある星が生まれて夏野あり

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「作品2012年6月22日号」の記事

  

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