売らない 松本秀文
――雉も鳴かなければ撃たれなかっただろうに
イノシシの襲撃の後に
殲滅
「涙を止めるものは涙でしかない」
巨人兵が動き回る
暴走する
自らの手首を切断して
神様(仮)を嘲笑うc
地底の青空
えなりかずきの群れが
這う(這っていきましょう!
暗さと
血腥い場所が
聖なる
輝き出す(猿が残響の背後へと潜る
いつも語られるのは
レインボーマンが
インドの山奥で修業している
B級の光栄(笑)
「無表情の卵になりすました詐欺集団と今日も闘うのだ!」
忍者のように
生きているうちに
あらゆる場所に花束と眩暈とウルトラマンを
(愛のある)
そして
英雄はあらゆる場所から消えて
生まれ変わる(回れよ、時代!
黒いコックピットの中
が
残酷な運命のように
静かに鳴る(サイレントモードです
「常にパニックを起こすな!」
循環する
過剰な野蛮さで掬う
「
行間を飛んでゆく
「あらゆるものは緩やかに死んでゆく」
「
壊滅しかけた「
E子「すみません、わたしの詩を読んで下さい」
Y男「あ、何?」
E子「詩を読んでいただけないでしょうか?」
Y男「え?詩?」
E子「はい」
Y男「てか、何?」
E子「もし読んでいただけるなら、HもOKです」
Y男「バカヤロウ、ってか、あのさ、俺ってあれじゃん、俺は俺じゃん、だから、何つ~か、つまり、本もまともに読
んでないじゃん、え?何て言うか、あの、あのさ、たぶんさ、え?ガチで分からねえよ、みたいな感じ」
E子「H出来ますよ」
Y男「俺は俺じゃん、みたいな、え?その~、Hはしたいっつ~か、するんだけれども(笑)、みたいな、そんな、ね、
その、お前さ、ってどうなん、リアルに、ね、その、詩なんてさ、どうでもいいじゃん」
E子「いえ、詩を読んでもらいたいだけで、セックスはどうでもいいんです。正直そっちの方にはあまり興味ないんで」
Y男「へ?あ、そ~なんだ、あ、何かそういうのってさ、詩ってな~に(笑)、え、その、何だ、ポエムか、バカヤロウ(笑)、
そのさ、それって、リアルに増えてるの?みたいな、ね、その、何だろ、そういうのって、「あたしカッコイイ」とか、
ね、思ったりすんのかな~、俺は俺だからね、なんてね(笑)」
E子「詩を書いてるとか、やっぱりひきますか?」
Y男「え?そりゃあ、ね、ぶっちゃけ、さ、そうだろ(笑)、何か「セックスしたい」とかの方が、ね、正直楽じゃね、
みたいな、俺は中卒だったりさ、ね、だから、そこはさ」
E子「そういう学歴とか関係ないと思うんですけど、ただ詩を読んで欲しくて」
Y男「ぶっちゃけさ、ね、読んでもらわなくてよくね(笑)、って、そう、俺という俺という俺が読まなくてよくない?
ね、だから、その、どうだろ、(笑)、ごめん、ちょっと俺が俺らしくおかしくなって、ってか、てめえが好きで書いて
るだけだろうが、このアマ、ボケ、カス、ね」
E子「詩をバカにするんですか?殺しますよ」
Y男「お、マジでキモいわ、は、何だてめえ、キレる世代ってか、あ~、そ」
E子「読んで下さい。何でもしていいですから」
Y男「あ~、も、やだやだ、めんどくせ~メスだな。おらっ」
太陽は
突然間違えてしまう
人間を溶かして
笑ってしまう(そうなのね
「壁に耳をつけるバカがいるかい!」
水たまりの筒井道隆の勢力が
武家屋敷の中で「
「障子に目をつけるバカがいるかい!」
瀕死NEWS(23:59~0:00)
「愚民の皆さん、こんばんは。茫洋とした場所で茫洋とした坊主が茫洋とした屏風に茫洋とした坊主の絵を茫洋と描きました。それがどうしたというのでしょう。今日も貴様らにはもったいない程うつくしい夜空が広がっています。ニュースをお送りいたしました」
ニュースキャスターの
娘の臍から
愉快なパントマイムをし続けるリスが笑う
散文的だ!
散文的だ!
散文的な風土に
流れる風は
未来を孕まずに
過去ばかりが
「おかわり」を言い続けて
この「
手榴弾が
蛇のように街をパレードする(地獄の三分間
肉体のない
必死ですき家の牛丼を食べて
全て終わった後のようないい
トイレの蛇口から菩薩を流しっ放しにする
「勇者よ!銃口を突き付けられたまま詩を語れ!」
田螺が
さむい口語の時代の片隅で
片付けられないことを
片付けられないまま苦しむ
「重力から逃げたウサギの仕業らしいぞ」
三日月(欠けたものはどこへ
中洲のラヴホテルは
にわかせんぺいのように笑う
第五十回「
唯一
一匹の猿だけが「
「最大の
「木から下りた奴らと一緒にするな!」
中学生の
充電された「私」というiPhoneに
「俺俺俺OH!」というアプリにハマり
啄木のような注射針の下で
「生きているだけで
現代詩人が売れない詩を売りながら
全く売れる気配がないので(笑)
体力UP ドリンクで滋養強壮してばかりいる
「君はたぶん死んだ熊ではなかろうか」
仕舞いには
「売らない」と強がるアホらしさ(しゃぼん玉飛んだ
アジアのどこかで今日も詩人は殺される
神様(仮)が芸人を目指す時代を生きる
我ら人類(そんなの嘘ですよ
つまり
誰もいない井戸の底で
魂は居場所を持てず
質量なき
蘊蓄の
宛名のない精液で
顔のない
星のように産み落とす
言葉の癌
星が降る夜
子犬たちは
銀河の隣にある公園で
紙飛行機を
そっと飛ばしている
風は吹かず
静かな時間が流れる