心裡留保   田島健一

心裡留保   田島 健一

稲妻や恋人がしょぼくれている

きれいに嫌われてゴーヤカーテンの裏

十月や船の不真面目いろとりどり

ふりそそぐ案山子悲しみ神のいしき

月ふるえ眠れぬ全身鼻唄なの

放送のうつろな町うろつく牝鹿

うっとりと相撲つかれている時間

自転車濡れて全部が濡れて茸狩

林檎凛々しく振り向く鮮やかな家族

秋晴れや裏庭へアナログテレビはこぶ

東京の穴に秋雨あなどる叔母

かりがねのこぼれてシャープして跳ねる

赤と白のゼブラ花野がペットショップ

法典白金みずことばくさことば

花野はねばし急ぐ花屋のお嬢さん

心裡留保また喪失の秋晴ある

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「作品 2011年10月7日号」の記事

  

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