我らの営みは無限の破壊を 伊武トーマ « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

我らの営みは無限の破壊を 伊武トーマ

我らの営みは無限の展開を

さわるとつめたくてきもちよい
樹木は育成することのない
無数の芽を生み、
根をはり、枝や葉を拡げて
個体と種の保存にはありあまるほどの
養分を吸収する。
樹木は、この溢れんばかりの過剰を
使うことも、享受することもなく自然に還すが、
動物はこの溢れる養分を、自由で
嬉々とした自らの運動に使用する。
このように自然は、その初源から生命の
無限の展開にむけての序曲を奏でている。
物質としての束縛を少しずつ断ちきり
やがて自らの姿を自由に変えていくのである。

フリードリッヒ・フォン・シラー

我らの営みは無限の破壊を

核は自然界に存在することのない
放射性物質を生み、
一瞬の飛散が、不測の事態を生起させ
同じ地に生きる絆を断ちきり、
すべての生態系を破壊する。
原子力は全生命に対する脅威を、無尽のエネルギーとして供給し
我らの営みに無限の夢と可能性を与えるが、
チェルノブイリでは、奇妙なかたちの生き物が生まれ
無限の夢を未曾有の悪夢に、無限の可能性を無尽の恐怖に変えた。
しかし我らの営みは、その過ちに終止符を打つことなく
無限の破壊にむけての序曲を奏で続けている。
欲望の赴くまま、自然物としての摂理を断ちきり
やがて自らの姿を怪物に変えていくのである。

伊武トーマ

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「作品 2011年10月7日号」の記事

  

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