ヘイヘイ 加藤治郎
便箋に青いインクがしみてゆくお元気ですか夏のゆうぐれ
ダウンロードのゆっくり進むファイルにはハイアイアイと歌が聞こえる
雲の下にあるかなしみと雲の上にあるかなしみとどっちが軽い
どこかの夏に降り立って
缶コーヒーを飲んでいる
返事を待っているばかり
生きているのかわからない
おもったより、おもったのは、音楽が言葉のなかにあってたのしい
青空のなかにも雲があることのすこしうれしくともだちを呼ぶ
午後からは行き先不明のわたくしでメロンフローズンころころと吸う
砂漠の色の夏の午後
ホットケーキを裏がえす
ナイフとフォーク用意して
宅配便を待っている
蜂蜜の流れる部屋にきみといるなんに濡れたか分からない髪
水風呂に夏のひかりのみちていてあなたの指がおへそをさわる
つめたい雲がまぶしくて
おなかの上におりてくる
あたっているのあたってる
シャワーの水はくすぐったい
燃えがらのような雲だけういている沈んでいるまた起き上がるから
八月になってもなにも起こらない線路の前に立っている影
はちみつ色の道をゆき
ゼリーの壁を指でおす
ヘイヘイというあんただれ
顔があったら見せてくれ
どんなあしたがこようが俺は生きてやる ガリガリくんはソーダ味だな