メディア王の勝利    法橋太郎

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メディア王の勝利    法橋太郎

メディア王の真実を語るとき、それを報道す
る立場にあるそれぞれの佞臣の傾いた良心に
ついて語らなければならない。もちろん、メ
ディア王の言うことすべてが虚偽でない。む
しろ真実が多いのだが、その真実に狡猾な嘘
を、狡猾な解釈を仕掛けるのだ。

メディア王の罠にかかるものがあとを絶たな
い。正確な資料のなかに偽餌を仕掛けるその
狡智。知識のないものを手際よく洗脳するの
だ。真実のなかに巧みに仕掛けられた嘘。そ
の虚実を知らぬ者たちは、それを信じて疑わ
ない。偽善の餌が今日も仕掛けられる。

餌食になるのはいつも貧しく、見てくれに騙
される者たちだ。誘いの言葉のその巧さには
舌を巻かざるを得ない。そこに欠落する義し
さ。何か根本的な義しさがそこにはない。時
流を読みながら、巧くおれたちを誘いこむの
だ。

おお偽善よ、おれたちの似姿よ。権威あるメ
ディア王のためならと、いくつかの操作をも
良しとする忠実な二枚舌の侫臣の多さよ。高
潔な者はすぐに外される。おれたちは何を信
じればよいのか。義しさとは何かを考えたこ
とのないものは、恰好の餌食になる。

真実は何処にあるのか。それはみずからの眼
で確かめるより仕方がないのだ。メディア王
の腐敗は、おれたちの腐敗と重なっている。
おれたち弱者が食ってゆくためには、いくつ
かの虚偽に目を瞑るしかないのだ。

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